友人からのプレゼント

自分たちでは泊まることはないであろう高級ホテルだった。
しかも家からも近かったのでそこに泊まるに行くことなど考えもしなかった。
ちなみにその友人とは長い付き合いで、香港人である。
彼女自身はかなりのセレブなのだが、生活はかなり質素だ。
。
彼女が飼っている犬をときどき預かる。
犬種は日本語でなんというかわからないが、マルチーズのようだが毛がカールしている。
何度も預かっているので私のことを第二の主人と認識しているに違いない。
家に遊びに行くと興奮のあまり失禁する。
犬の記憶力には驚かされる。
個体によってことなるだろうが、大抵一度会うと覚えているのだ。
実家で飼っている犬がそうである。
初めて来た人にはけたたましくほえる。
しかし二回目にはほえない。
その二回目がどんなに時間が経っていてもおぼえているのだ。
何年経っていても。
。
不思議なのはそういう方面では記憶力が抜群なのに、肝心な点を覚えてくれないことだ。
たとえばその犬は脱走癖があってそのたび叱っている。
しかるとしっぽをまるめて観念している。
「脱走は悪いこと」この図式がなかなかインプットされないようなのだ。
そもそも善悪の概念がないのだろうか。
高級ホテルのロビーを散歩
そうして友達がプレゼントしてくれた券をもってわくわくしてホテルに向かった。市バスで行ったので、なんかヘンな感じがした。
チェックインしたあと田舎物まるだしでホテルを見学した。
今回はプライベートなどで問題ないが出張などで出かけたとき、lanがつながらないとかなりあせる。
。
散策していると中華料理のレストランの玄関わきで、カラフルな粘土を使って人形のようなものを作っている人を見かけた。
粘土なのかお菓子なのかわからない。
とてもよく出来ている。
その職人さんもすごいけど、人間の手ってあらゆる可能性が秘められているのだと感心した。
。
ホテルのロビーには大きなグランドピアノがあり、バイオリン奏者も何人かいて常に生演奏している。
楽器がなにも出来ない私にとってなんらかの楽器をマスターし曲を演奏できる人を非常に尊敬する。
しかもそれを職としているのだから、もっとすごいと思う。
美しい音色に耳を傾けているうちに、この演奏している人たちも本当は有名な演奏家になるとか有数の楽団に入るとかの壮大な夢があったのだろうかと考えた。
楽器の演奏を仕事としているとは一般人にしたらすごいとは思うけど、もしかして彼女たちの親にしてみればホテルのロビーで演奏というのは不本意なのかもしれない。